谷農園の人にやさしい玉子作り

2001年5月2週号

 

谷農園の畑の一角で、放し飼いの鶏が元気に走り回っています。この鶏は、玉井崇さん(代表)、木下吉平さん、須田直美さんが飼育しています。
木下さんは、かって会社経営をされていましたが、精神的に疲れて病気になり、リタイアし、全国をいわば放浪されていたことがありました。そのときのボランティア活動で各地の障害者の人々との出会いがあり、障害者とともに人がほっとして生活できる居場所作りの必要性を感じておられたのでした。そして、養鶏ならいろんなタイプの障害者の人たちの仕事を作りやすいと考えておられました。やがて谷農園を訪れ、オルターなどへの野菜の輸送を担当されるようになり、谷農園の小倉和久さんと協力して、この夢が実現する運びとなったのです。
小倉さん自身も子どもが障害者となって、その子の将来を考えたとき、障害者が社会の真中で生きていける場所を作りたいと願われていたからでした。まだ名前もない小さな養鶏場は、こんな大きな夢を乗せて昨秋出発したのです。そして今春、いよいよその出荷が始まりました。今はまだ小人数ですが、やがて養鶏はもとより、野菜の仕分け作業やいろんな加工場を作って、多くの障害者がいきいきと働き、生きていける場を作り上げたいと夢は膨らむばかりです。もちろん養鶏は安全性にこだわって飼育されています。オルターとのこれからの長いおつきあいの始まりです。エールを送って下さいね。

◎谷農園の放し飼いの鶏
<飼い方>
放し飼いにしている鶏舎は、谷農園の畑の一角にあります。日光もよく当たり、風通しもよい開放鶏舎(11.5坪)7棟に820~830羽。すなわち1坪当たり10羽の密度で、平飼いです。雄1:雌10の割合で、雄も入れています。品種はゴトウ、ワーレンです。ここでできる鶏糞は、やがて谷農園の畑へ使う予定です。
<エサ>
飼料添加物を使った市販の配合飼料を一切与えません。もちろん、動物医薬品も使いません。エサはタナカファームさんに紹介してもらい、可能な限り良質の下記の素材を自家配合しています。
①PHFトウモロコシ(ポストハーベストフリー、非遺伝子組換え)
②米糠(近場で調達)
③魚粉
④大豆粕(非遺伝子組換え)
⑤モミ殻(無農薬米)
⑥カキ殻
⑦ミネゲン(プランクトン、魚介類積物、ミネラルとして)
⑧炭酸カルシウム
⑨リン酸カルシウム
⑩木炭(里山クラブ)
⑪野菜くず、あぜ草、人参(谷農園)
⑫にんにくジュース
⑬とうがらし
⑭リンゴ酢、竹酢液(年2回)
⑮水(ハイパークラスターで水道水を活性水にしています)

◎谷農園のPHF平飼い赤玉子
出荷に際して、玉子は水洗いしていません。すなわち卵殻のクチクラ層(自然の抗菌、防御層)がとれないようにしています。

一般市販の玉子の問題点
主たるエサがとうもろこしやマイロです。ポストハーベスト農薬、スターリンクなど遺伝子組換えの問題があります。植物性油カスは、n-ヘキサン抽出大豆油カス、菜種カス、グルテンミール、米ぬか油カスなどですが、
ポストハーベスト農薬、遺伝子組換えのほか、n-ヘキサン抽出などによる精神病、がん、心臓病の問題があります。
動物性飼料としてチキンミール、フェザーミール、ミートボーンミール、骨粉、血粉(エサ、飼い方、添加物など問題)、魚粉(酸化防止剤などの添加物)が使われています。闇取引されている狂牛病問題の動物性飼料も心配です。
その他、動物性油脂、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどを添加しています。
このように、ポストハーベスト農薬や成長ホルモン、黄体ホルモン、卵黄着色剤、鶏糞防虫のための合成抗菌剤、抗酸化剤、合成アミノ酸、合成ビタミンなど飼料添加物だらけの配合飼料なのです。
また飼育環境は、ケージの列を数段にも重ね、エサは、この配合飼料を自動的に給与しているのです。狭いケージ内には2~3羽が押し込められて、身動きできないストレス状態で、ひたすら玉子を生まされています。いつも悪臭立ち込める中で、健康な鶏になるわけはありません。そして、不衛生やストレスによって起こる病気は、ワクチンや抗生物質、ニトロフラン剤、抗コクシ剤、サルファ剤など動物医薬品を使って対処するのです。当然、サルモネラ菌の潜在的危険性を、いつも抱えていることになります。出荷に際しては、黄身2つの玉子や血液が混じった玉子は検卵していますが、同時にきれいに見せるために合成洗剤を使って洗卵し、本来ある玉子の保護バリアー(クチクラ層)を除去してしまい、腐りやすく、中毒になりやすい玉子を作っています。

―文責 西川栄郎―

ページの先頭へ