安心して使える砂糖はどれ

2000年4月1週号

 

健康ブームの中で、いろんな砂糖が登場していますが、今回はそれらの比較を試みてみました。結論としていえば、白砂糖の代わりに使うなら、分蜜糖がまだましかというところです。
≪種子島甘蔗分蜜糖≫
 オルターで取り扱う黄金色に輝く種子島甘蔗分蜜糖の製造メーカーは新光製糖で、SC糖という品物です。他団体でこれを洗双糖(あらいざらい糖)としてよく売られていますが、これは洗双糖ではなく、正しくは甘蔗分蜜糖というべきものです。オルターのお菓子などの原料によく使用しているものです。白砂糖よりはましという位置づけで使っています。その性質は白砂糖に近いものであると承知していますが、甘いものでなければなかなか納得していただけないお菓子にやむをえず、控えめに使っているものです。

<原料>
国産のサトウキビ100%が原料です。輸入の粗糖の混入などはありません。日本の砂糖総消費量(240万t)のうち、国産サトウキビを原料とするものは13万トンであり、またその多くは黒糖であり、国産キビ砂糖として位置付けられるのは、わずか2万トン(全体の0.8%)だけの超貴重な砂糖です。政府による農民の保護政策下にある品物で、需要に供給が追いつかず、あまり有名になると困るとメーカーが言う状況なのです。
<製造>
原料糖として再精製用に用いるためでなく、消費者が直接消費することを目的として作られ、砂糖としての消費価値を高めるため、必要最少の精製(低精製)に留めています。そのため、自然のもつ成分、風味がより多く残存しています。

◆種子島甘蔗分蜜糖
 この砂糖はしっとりしているため、通常の小分け用の機械にのりにくいため、オルターで業務用袋より小分けしています。この小分け作業は「障害児者」と共に生きる場「ひたむきの会」の家、フレッシュながの、「障害者」の解放をめざす家目座視、共働事業所共に生きるかすみ荘、バオバブの家などの南大阪の福祉作業所の人々によって楽しい作業として担われています。そのため、包装の不完全なときもありましたが、温かい目で是非おつきあいいただければと思います。
特徴
●低精製のため成分、風味がより多く残存している。
●赤ワインで一躍話題となった「ポリフェノール」(抗酸化力、制ガン作用等)の含有量は「上白やグラニュー糖はなし」に対し、「30mg/100g」です。
●三温・上白に比べても、コクがあるため、少量でも甘味が出せ、砂糖消費量を抑えることができる。
●三温・上白に比べ、蔗糖分以外の成分が多く、水分量も少ないため、これを使って作った料理や製品のテリ、つやが良くなる。
●欠点としては、茶褐色の色合いを嫌う料理には若干不向きである。
市販の砂糖の問題点
 砂糖の消費量は文明のバロメーターといわれていましたが、一方精製された、いわゆる白砂糖は、単に虫歯の原因となるだけでなく、免疫力低下を引き起こし、万病のもとになることが知られています。以前サッカリン、ズルチン、チクロなどの合成甘味料の毒性が問題となったとき、その毒性研究の対照として白砂糖を使ったところ、白砂糖にも合成甘味料同様の毒性が確認されました。この研究をめぐって、研究者が2人暗殺されたらしいという話もきいたことがあります。砂糖の害を心配する人やダイエットを行う人などがステビア(催奇形性が確認されている)、パルスイート(アスパルテーム…脳障害の被害が確認されている。とくに加熱したとき危険。)など人工甘味料を使うことがありますが、それも有害なものです。
そこで、三温糖など茶色の砂糖がもてはやされる風潮もあります。しかし、市販の三温糖のほとんどはいったん上白糖まで精製した砂糖に、その精製の途中の廃糖蜜(廃棄物。処理に使った薬品を含む)をもどして着色していたり、カラメル着色しているという代物で、昔のように一温糖→二温糖→三温糖というような精製半ばの未精製糖ではなく、茶色い砂糖の総称になっているのです。自然食業界の三温糖は輸入粗糖を水にもどして再結晶したもので多少は未精製分を含んでいます。しかし、これも以前はカラメル着色をしていたことがあったり、いたずらに流通コストだけが高い砂糖というしかないものです。
喫茶店にコーヒー用の茶色い砂糖がおいてありますが、これはカラメル着色した氷砂糖で、いわば添加物入り白砂糖なのです。
未精製糖として徳島の和三盆も有名ですが、今ではこれも白砂糖で増量されている時代なのです。
最近自然食業界でビート糖(含蜜糖、分蜜糖)のいろんな種類が出回っていますが、ビート糖にも、今年からは遺伝子組換えが導入され、産地はよく確かめないといけない状態です。
そこで黒砂糖はどうかというわけですが、これもカタログ1999年2月第2回で御紹介したように、白砂糖の混入(虫歯になる)やカラメル着色などがあって、なかなか安全な良質のものが手に入らない状態です。
加工食品が氾濫する中で、実はこの砂糖の消費量がどんどん減ってきているのです。清涼飲料水やお菓子、加工品の甘味料の主役はトウモロコシ(遺伝子組換えが心配)のコーンシロップになってしまっているのです。
異性化糖、液糖、水アメ、デキストリン、果糖、オリゴ糖(てんさいだいこんからのものならまし)などの形で使われているのです。
では甘味料として何を使えばよいのでしょう
  結論的にいうと理想は一切使わず、野菜などの素材の甘みを生かした料理をするのが一番健康によいのです。とくにオルターの素材なら、素材の良さが期待されるからなおさらです。
しかしどうしても甘味がほしいというなら、第1のお勧めはオルターのハチミツ(山口蜂園:カタログ1999年7月第3回参照や真南風の平良昭さんのハチミツ)のようにちゃんとしたハチミツです。すでに御紹介したようにハチミツにも問題点がいろいろあります。またとくに牛乳と並んで加熱に弱い食べものですので、煮炊きには向きません。
第2は例えば三河みりんのようにちゃんとしたみりんや、ちゃんとした水アメ(遺伝子組換えのない、ちゃんとしたものをオルターで開発中です。)です。カタログ1998年12月第1回でお知らせしたように、本みりんやみりん風調味料には問題があります。
第3はオルターの黒砂糖(カタログ1999年2月第2回参照)のような、良質の含蜜糖(虫歯にならない)です。
第4はさとうきびやビート(てんさい大根)などの分蜜糖のような未精製糖です。これ以下は限りなく白砂糖に近いものであることを認識して下さい。

―文責 西川栄郎―

ページの先頭へ