親子3代で守る伝統の醤油作り

2000年7月1週号

 

丸中醤油は明治8年が創業。鈴鹿山脈に源流をもち琵琶湖に流れる愛知川、その岩魚が住み、鮎が泳ぐ、もちろんそのまま飲める清流の伏流水を濾過して醤油作りを続けています。すでに亡くなられましたが、中居金次郎さんからおつきあいを始め、現在の主力はその息子さん村西志郎さん(四男)と長男の息子中居真和、次男の息子中居努さんの3人です。戦時中、醤油を代用品(牛の毛や血などのアミノ酸)で製造した時代があって、金次郎さんは早く元の姿に戻したいと口癖のようにおっしゃっていたとのこと。戦後、物資が豊かになり、やれやれと思い伝統的手法に戻せたのですが、世間一般は三ヶ月で温醸して作るアミノ酸醤油の方へ走ってしまったのです。食品公害が大きな問題になった昭和40年代になって、金次郎さんが守ってこられた、この伝統的な作り方の正しさが確信されたのです。そうして、滋賀県の団体から紹介を受け、今日の私達とのおつきあいが始まり、関西を中心にその良さを認める輪が広がって、息子さん達も家業に戻ってこられたのです。

左より中居努さん、村西志郎さん、中居真和さん
◆有機丸中醤油(無農薬)
<原料>
・滋賀県彦根市、西田喜三さんの無農薬大豆(玉ホマレ)
・滋賀県安土町、道尾芳孝さんの無農薬小麦(農林11号)
・メキシコ天日塩、中国産にがり
・甘酒…生産者:伊谷商店
原料:米 ライスロッヂ大潟、提携米(無農薬)
作り方:蒸し米をこうじにしたものと、ご飯を混合し、
    極少量のあらじおを入れて発酵させたもの。
塩のカドを取るために若干使用することがあります。
   使っても余りにも微量なので、ラベル表示はありません。
<作り方>
 蒸煮した大豆と炒って割砕した小麦を混合して、醤油麹(大豆と小麦の原料をもち込んで麹を作ってもらっている)を入れ、製麹室で3日ねかしたあと、塩水を加え、この醪(もろみ)を自然醗酵によって3年間熟成させています。市販品で3年ものとはふた夏もの、すなわち夏~夏の1年半くらいのもののことですが、ここでは満3年ねかしています。樽は杉樽が1/3、コンクリート製が2/3です。醤油はねかす3年間、ただ放置しておけばよいのではありません。竹製のカイ棒で醪(もろみ)を攪拌しなければならないのです。冬場は20日に1回でもよいのですが、夏は4日に1度。これがたいへんな重労働なのです。出荷時には醪を圧搾で生揚醤油に搾り、さらに殺菌(80℃、1時間)をしています。冷却後、珪藻土で濾過をしています。
調味料、着色料、防腐剤などの
食品添加物を一切使っていません。
温醸(加温)もしていません。

◆丸中醤油(国産)
原料
・滋賀県産大豆
・滋賀県産小麦
・メキシコ天日塩、中国産にがり
・甘酒
<作り方>
 前述と同じ。

市販の醤油の問題点
最近コマーシャルで宣伝している丸大豆醤油でも、まず原料の大豆、小麦に問題があります。大豆(ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え)、小麦(ポストハーベスト農薬)、塩は工業用にイオン交換法で精製された公社塩(高血圧の原因)。
実は大手メーカーは丸大豆でなく、原料代が安く、速醸ができコストの低減のできる脱脂加工大豆を使っているのが一般的。n-ヘキサン抽出した大豆油の搾りカスを使用。このようなうまみの抜けた原料ではおいしい醤油が作られるはずがありません。しかも、加工脱脂大豆では長期醗酵に耐えることができませんので、加温処理をする温醸でわずか3ヶ月程度で醸造してしまうのです。当然、うまみがないので、調味料の登場となるのです。そこでグルタミン酸ソーダー(脳障害)、イノシン酸や蛋白加水分解物(人毛など劇薬を使って加水分解するため、発ガン性が確認されている)が新式醸造と称して使われます。また、水飴(ポストハーベスト農薬、遺伝子組換えのとうもろこしの加水分解物)も使われます。また、速醸では色も浅いので、カラメルなどで着色(発ガン性の心配)を施すのです。また市販の淡口醤油は日東醸造の白しようやカメビシの淡口仕込み醤油ではなく、このような濃口しょうゆをだしを塩水で薄めて作るため、腐りやすく安息香酸のような毒性の強い防腐剤も使われるのです。
かくして、ミネラルウォーターよりも安い低品質の目玉商品の醤油がスーパーに並べられることになるのです。しかし、安いというのは単なる見かけ上だけであり、このような塩水に黒く着色したものを料理に使っても色か塩味がつくくらいで、いわゆる醤油の香り、風味がなく、使用量も多くなるため、かえって割高になる醤油なのです。またコスト低減のため、環境ホルモンの溶出してくるプラスチック容器入りなのです。わずか3ヶ月で溶出してくる成分で醤油に異臭が出てくるほどのものなのです。
醤油の白いカビ(?)
最近の市販の醤油にカビが生えることはありません。なぜなら防腐剤が使われているからです。
しかし、丸中醤油には条件によっては白いカビのようなものが浮かぶことがあります。これは醤油に生きている酵母であって、もちろん食べても差し支えありませんが、気になる人はすくって、あるいはこしてお使い下さい。または湯せんで煮沸してみて下さい。

―文責 西川栄郎―

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