11月1日お届けのよつば牛乳より 非遺伝子組み換え飼料に切替え

1999年11月1週号

 

私達は20数年前に、自然いっぱいの北海道牛乳「よつば牛乳」の共同購入を始めました。しかし、当時の北海道酪農は公害や近代化の波にいわば「遅れていた存在」で、決して自立的に安全な牛乳を生産しているという確固たるポリシーに裏付けられているわけではありませんでした。放置していると第2の雪印となりかねない危うさがいつもありました。したがって、その「よつば牛乳」をまず10年かかって「超高温滅菌・UHT」から過度な加熱を排する「パスチャライズ・HTST」に切替え、さらに次の5年で心臓病などの心配のない「ノンホモジナイズ」牛乳を実現してきました。そして、この度私達の3年がかりの働きかけの結果「遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆を使わない飼料」に11月1日供給分の牛乳から切替えさせることができることになりました。しかし、手放しで喜んでいるわけにもいきません。牛のエサは、本来豊富な草が前提であるべきです。その草地酪農なら始めから非遺伝子組み換え(NON-GMO)のエサなのです。しかし、現在の十勝の酪農は他の地域と比べれば、草をまだまだたくさん食べさせているとはいえ、残念ながら酪農の近代化が進み、購入飼料に依存する方向に動いています。今回は、その購入飼料のトウモロコシ、大豆をNON-GMOにしたというだけなのです。これからさらに、こうした濃厚飼料への依存から脱却する道をさらに模索していきます。すなわち、牛乳のより高い安全性を実現するためには、「よりましな代替飼料」ではなく、顔の見える「草地酪農」を目指すのが最終目標であるからです。

NON-GMOよつばノンホモ牛乳
●まだまだ牧草たっぷりの飼い方
輸入穀物に頼りきった近郊酪農と比べれば、はるかにましではあります。十勝ではエサの自給率がまだまだ50~60%程度だと思われます。自給率が10~20%以下の酪農と比べればそれだけエサの安全性が高いということです。しかし、この自給率も多頭化の波の中で、近所の草や輸入牧草を購入するなど年々低下してきたのです。オルター大阪としてもっと草地酪農へ戻すべきと考えています。今回NON-GMOに切替えたということは、その購入飼料のトウモロコシと大豆をNON-GMOのものにしたということです。しかし今回の切替えはまだ牛乳だけで、他の乳製品の原材料はこれからの対策です。

●成分無調整
クラリファイヤー(遠心分離機)でゴミを除去する以外に成分をさわっていません。

●パスチャライズ殺菌
高温短時間殺菌法(HTST)による乳質にやさしい殺菌をしています。したがって風味、栄養などが損われていません。

●ノンホモジナイズ
心臓病や風味低下、酸化の原因となるホモジナイズをしていません。そのため、搾乳から充てんまでクリーム粒子に損傷のないよう配慮した製造工程です。例えばフューガルポンプ(圧力タイプ)ではなくロータリーポンプの使用やできるだけ短い工程ライン、パイプのカーブ直角でなく、円型にカーブしたものにしているなどです。

●無漂白の牛乳パックの使用
カナダの最上の木材パルプを使用(回収してトイレットペーパー作りもしています)、有害な漂白処理はしていません。
牛乳の充てん方法はブリックパックを用い、液面化充てんという空気を遮断する方法で行っています。これによって輸送中の振動による牛乳の劣化を防ぎ、かさばらないことで輸送コストも低くなっています。

市販の牛乳の問題点
◆エサと飼い方
 十分な牧草が与えられることはなく、狭いところに押し込められ、ストレスや不衛生を薬漬けの畜産(飼料添加物や動物医薬品)で解決しようとしています。飼料の中心はトウモロコシや大豆カス、綿実油など輸入の穀物で、遺伝子組み換え、ポストハーベスト農薬、放射能汚染などの問題があります。それからするとまだカス酪農(ビートカス、トウフカス、ビールカスなど食品産業界の廃棄物、様々な農薬や添加物の問題がある)の方がましにみえてしまうのです。ソルゴーやデントコーンの自家栽培をしている生産者はかなりましな方といえますが、それでも牧草とちがって、農薬、化学肥料の使用があるのです。そして、これらの脂溶性毒物を牛乳という食べものに本来的に直接反映させてしまうのが牛の母乳なのです。したがってエサは化学肥料を使わない有機栽培の牧草に限るべきなのです。そして放牧が理想なのです。また搾乳量を増やす目的で女性ホルモン(女性の異常成熟、早い老化、早死に、乳がんの危険)や牛成長ホルモン(狂牛病の原因)が使われています。

◆還元乳と加工乳
脱脂粉乳など乳製品(チェルノブイリの放射能が心配)を水にもどして還元乳を作り、これと生乳を混ぜて作るのが加工乳です。これらは原料の汚染だけでなく工場段階での熱変性なども問題です。低脂肪牛乳、カルシウム強化牛乳、特濃など全て牛乳本来のあり方からははずれた有害な牛乳なのです。正しいのは搾りたての牛乳を「成分無調整」など何も足さない、何も引かない牛乳であるべきです。

◆殺菌条件
「有害な病原菌を死滅させ、牛乳の栄養など品質を損わない」パスチャライズド牛乳がIDF(国際乳業連盟)の牛乳の定義です。しかし、日本は世界の中で極めて異常な超高温滅菌牛乳(外国と比べても過度)がまだ市販の90%も売られている国なのです。その理由は殺菌数が多い原乳を扱わざるを得ない搾乳状況や物流システム上の問題です。すなわち舎飼いによる糞尿の汚れ、敷わらなどのホコリ、サイレージのエサからの雑菌、乳房炎感染や搾乳後、農家のバルククーラーやメーカーの貯乳タンクの保管時間が長すぎること(消費者は日付を気にしているのに、メーカーは搾乳後3~4日もかけているのです)などが原因なのです。超高温の過剰な熱処理は良質なカルシウムや蛋白など栄養を熱変性させるだけでなく、人、牛、豚、ねずみなどに悪影響を与えることが分かっています。

◆ホモジナイズ
米コネチカット州ブリッジポートの心臓病専門医カート・オスター博士とフェアフィールド大学の生物学者ドナルド・ロス氏は10年以上にわたる研究の結果「ホモジナイズ牛乳に含まれるキサンチィンオキシダーゼが動脈の損傷や閉寒を生じ、心臓にも損傷を与えることがある」と指摘しています。オスター博士はいろんな国の統計を検討したところ、心臓病と動脈硬化による死亡率が最も高いのは、ホモジナイズした牛乳を飲んでいる米国とフィンランドであることを示しています。ホモジナイズとは牛乳液中に浮遊している脂肪(クリーム粒子)を細かく砕くという技術です。その目的は超高温の滅菌機のプレートに乳石を作らないようにする予備技術でもあり、加工乳を作る技術でもあります。

◆容器の安全性
環境ホルモンなどの立場からみて、有害物などを溶かし込んだら、強酸性でなければ溶け出しにくいガラス瓶が一番安全な容器です。ガラス瓶でもその消毒をどうしているかも大切です。合成洗剤や次亜塩素酸ソーダーなどが残留していると困ります。次に無漂白の牛乳パックがましです。漂白した白いパックには製紙工場で使う塩素漂白のためダイオキシンが発生しています。牛乳パックに使うポリエチレン、一番ましな食品用プラスチックですが、加塑剤としてポリエチレンのオリゴマー(小さな高分子(有害かどうかは未知))が含んでいます。長期保存可能なLLミルクは特殊なアルミパックに入っていますが、本来は物性的にくっつかないアルミとポリエチレンをくっつけるために何か薬品が使われています(メーカーはこのキャリーオーバーの添加物を発表していません)。

―文責 西川栄郎―

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