今ではここだけしかない本式の荒巻鮭我孫子さんの絶品「古式荒巻鮭・エリモン」

1998年12月3週号


襟裳の海は、寒暖両流の合流地点で、豊かな漁を約束してくれます。鮭漁は9月の始めから11月末まで続けられます。この襟裳で水揚げされた最高の鮭から「オス」で魚体の大きなものだけが、選び分けられます。 最初、むしろの上に塩が打たれ、腹抜きされた鮭が並べられます。その上にまんべんなく塩が擦られます。塩は、ウロコとは逆方向に塩がよく馴染むようにしみこませます。この時、魚の中の水分が追い出されます。
 最初の一週間が経つと、塩がよく馴染んでいるか、姿がいびつになっていないか等を点検しながら、別の場所に並べ替えます。魚体の天地を返して、また新たな塩が打たれます。これを「床漬け」といい、5~6回繰り返されます。この時使用する塩は、沖縄の海洋深層海水塩です。塩分が低く、甘みのある塩、独特の深みのある塩です。(細菌数が少なく清浄、水度の低い海水、人為的な熱を加えていません)
 この後、注文を受け始める頃になると、その本数だけ真冬の清流(ほぼ0℃)で荒縄を使って、ウロコなど不純物を洗い流します。そして1~2晩、床漬けの期間によって、この清流に晒して塩抜きをします。こうすると背と腹の塩分が等しくなります。どうしても腹に打つ塩分は多いからです。

 次に日陰の風通しの良いところで、10日間ほど吊るします。これを「日陰寒風干し」といい、みるみるうちに輝きが出てきて、おいしい荒巻鮭の姿を見せてきます。吊るしているときに、縄へ頭部の不要な油分が吸い取られます。出荷直前には荒縄で艶を出して最終商品となります。なお真空包装する直前にお腹の中に昆布を入れ、後から出てくる可能性のある油分やドリップを吸収させます。(この昆布もおいしい) こうして「身が締まり、こくがある」天下一品の古式荒巻鮭ができるのです。これだけ手間暇をかけた荒巻鮭がおいしくないはずがありません。日持ちが良く、いつまでもおいしく食べられる鮭として絶賛されているのです。こうしてデパートで1匹1万2千円以上で販売されているものなのです。
なお食べることの注意は通常の1切で家族4~5人分はあるということです。普通の量を食べるのは当然塩辛くて食べられるわけがありません。くれぐれも少量ずつ大切にお食べ下さい。荒巻鮭はもともと保存食なので、塩気が強いものなのです。塩味は鮭の身を生かし、味わいを深める役割を果たしています。塩でうまくなった鮭と、鮭でうまくなった塩。どちらを引き立てるかで、料理の幅がぐんと広がるはずです。
 
古式製法の本造り『古式荒巻鮭』の美味しい食べ方
襟裳沖の定置網から揚げられた鮭の中から選ばれ、特殊な製法で手間と時間をかけて造られた『古式荒巻鮭』は、筒切りにして焼いて食べるのが最高です。本物は、邪魔な味付けは必要としません。
 塩と鮭が引き立て合う美味しさ炊き立てのご飯に、焼いた身を少しだけほぐして混ぜると、驚くほど美味しい。そのうまさは「おにぎり」にして冷めた時に食べると、もう一度実感できる。また、鍋や汁物に利用すれば、他の調味料は必要ないほど。
 それでどうしても濃いと感じられるなら、切り身にして20分~1時間水に浸すと塩分は抜けても、塩の風味と味は変わらない。

★先ず、怪我をしないよう注意深く、魚をさばいて下さい。
(1)包丁は、「出刃包丁」を使って下さい。やむを得ず普通の包丁を使う時は、切れ味の良い刃物をお使い下さい。
(2)1尾のまままな板に乗せ、先ず、頭を切り離します。(頭は大事にとっておいて下さい。)
(3)次に、身の部分を半分に筒切りにし、半身ずつをまな板の上に乗せ、適当な厚みで筒切り(輪切り)にする。

★焼いて
(1)筒切りの切り身をそのまま焼いて食べるのが最も美味しい食べ方です。腹の処も、しょっぱくなくて皮まで美味しく食べていただけます。残った鮭は、冷えてもとても美味しいのですが、お茶漬けも最高です。

★お茶漬けで
(1)焼いて冷めた切り身を、身と皮に適当な大きさにほぐす。
(2)ご飯に鮭をのせ、熱い煎茶をかける。
(3)味見をして薄いようであれば、塩を少量かける。本当にコクが出ますから、出し汁をかけたりする必要はありません。是非とも試してみて下さい。満足度100%保証付き、日本人の味です。

★皮は酒の肴にして
皮だけを千切りにする。フライパンでサッと煎ってから、お醤油にしょうがを添えて食べると、これも最高の“おつまみ”になります。

★頭は三平汁にして
(1)頭を正面から2つ切りにし、適当な大きさにする。
(2)じゃが芋を乱切りにし、人参・大根は適当に切り、下ゆでし、アクを取る。
(3)こぶだしに酒で味付けをし、(1)、(2)を入れて煮る。必要なら塩を足す。ポイントは『古式荒巻鮭』から出るだしを活かすように、薄味にしたてること。

★鍋物、汁物に
鍋物や汁物に利用すれば、ほかの調味料は必要ないと感じられるだろう。それでもどうしても濃いと感じるなら切り身にして水に浸してみるとよい。時間にして20分~1時間。好みで加減しながら浸しておく。塩分は水に浸す時間が長くなるほど抜けていくが、鮭はふやけない。風味も味も変わらない。身の崩れもない。そこが手間暇かけて作った「古式荒巻鮭」のすごいところだ。
〈保存方法〉
適当な大きさの切り身にしてラップで包み、摂氏5度以下で冷蔵保存。なるべく早めにお召し上がり下さい。

一般の荒巻鮭
 市販されている荒巻は、安孫子さんの昔ながらの古式荒巻とは全く異なり、単なる塩鮭であることがほとんどです。塩も公社塩、塩つけ作業は1度きり、それを冷凍状態で放置、場合によっては酸化防止剤も使用することがあります。
安孫子さんの襟裳昆布がなぜおいしいか
 北海道の中でも昆布の産地として松前、襟裳(日高)、ラウス、利尻、(歯舞)が有名です。それは海流の影響でおいしい昆布のとれるところなのです。
 昆布は浜ごとに値段が異なります。この理由もおいしさの違いなのです。日高昆布として売っている昆布でも、釧路あたりの昆布は本当の襟裳岬周辺のものと比べて半額程度のもので、だし昆布としてはおいしいものではなく煮昆布にしかならないものなのです。
 見た目の量はあってもおいしくない昆布がスーパーや生協で並んでいる背景はこういうことなのです。安孫子さんの昆布が少量でたくさんだしがとれるのは、これがまさに襟裳岬周辺の昆布だからです。
 最近はなくなったと思いますが、昔は昆布の着色(くつずみの色素)もありました。今でもきれいに化粧しているような高級昆布にはグルタミン酸ソーダーを添加しているものがあります。安孫子さんの昆布は浜で干しただけの昆布で、こういう形の昆布が変な手を加えていない分、旨味がよく出るのです。

◆ ここがポイント!![昆布を使った料理のコツ]◆
◇煮出汁:砂やホコリを払い去る程度にし、水洗いなどはしない事。これを水から入れるか、湯の煮立つ間際に入れます。煮出しは1分間も煮立てたら引きあげるのがコツ。煮すぎるとヌメリが出て昆布臭くなります。
◇昆布巻:とろ火で煮こむ時に、山榛子か少々の大豆、または薄く煮出した晩茶を加えると、中の魚が頭から骨までやわらかくなります。
◇塩昆布:煮込む前に、昆布を酢水でふやかしておくと柔かく仕上がります。弱火でじっくり煮るのがポイント。煮汁が少なくなったら焦げやすいのでご用心。
◇揚昆布:乾燥しすぎていると結びにくく折れるので、水にサッとくぐらせ、ふきんでしなやかにして用います。油の温度が高いとすぐ焦げて味も落ちるので、弱火でゆっくり揚げるのがポイントです。

-文責 西川栄郎-

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