五島列島発 激うまの海産物が届きます

2008年11月2週号

 

噛むほどにおいしい「水いかするめ」。
チューインガム代わりに子どもに与え、口輪筋トレーニングに役立てて下さい。

 

●五島列島の逸品、海の幸
 五島列島富江で1937年から70年以上続く海産物加工店・山戸海産は、いろんな珍しい水産加工品を無添加で作っています。いかの王様と呼ばれる水いか(アオリイカ)のするめをはじめ、水いかの塩辛、いか徳利、からすみ、塩うに、きびなご干し、とさかのり、あおさ、長ヒジキ等々、いずれも絶品ばかりです。
 おいしさは勿論、素朴で安全です。からすみや塩うにの無添加は特に珍しく貴重なものです。その為テレビの旅番組等でも幾度となく紹介されています。

●チューインガムの代替品として注目
 そのうちのひとつ、NHKの日曜日の早朝番組「産地発!たべもの一直線」(2008年1月11日放映)に、オルターとして注目しました。この番組では水いかのするめを紹介していました。普通のするめいかのするめではなく、なんと最高級のイカである水いか(アオリイカ)のするめなのです。なんてもったいない、と思いましたが、そのただごとではないおいしさのコメントがたいへん気になりました。オルターがチューインガムの代替品を探していたからです。
 オルターが2007年に実施した講演会の講師・西原克成先生は、脳の発達にとって口周りを鍛える事の大切さを説かれています。昔の子どもは、母乳育児、おしゃぶりを経て、するめなど固いものを与えられる事で、自然に口輪筋が鍛えられました。しかし最近の子どもたちは、口まわりを鍛える習慣から遠ざけられた結果、あごや歯並びの未発達が問題になっています。その為オルターでは母乳育児、おしゃぶり、口唇筋力トレーナー「パタカラ」を推奨しています。
 この取り組みの中で「噛む」習慣を身につける為の品として、安全なチューインガムを求める声が少なからずありました。しかし、チューインガムは原料の殆ど全てが有害な人工的なもので、安全なものを開発することはとても困難です。そのため、これまでその代替物としてはネオファームのドライフルーツなどをおすすめしてきました。
 そんなチューインガムの代替品に、水いかのするめが使えるのではないかと気付いたのです。するめいかのするめでは、なかなか子どもたちが喜んでくれるほどおいしくないからです。
 水いかするめは、まさに絶品です。噛めば噛むほどおいしいするめで、チューインガムの代わり以上になります。適当な大きさの水いかするめを、表面だけを軽く炙って子どもに与えてあげればよいのです。

●離島だからできる、 最高級イカのするめ加工
 水いか(アオリイカ)は高知県、三重県の特産品で、大阪や名古屋では料亭などで刺身や寿司ネタ、天ぷらなどに使われる高級食材です。常識的にはこのイカをするめにする事はあり得ません。五島列島は全国有数の水いか漁の拠点、しかし離島のため鮮魚での出荷が難しく、島で豊富に獲れる水いかをするめに加工する事が昔から行なわれていました。かつては加工業者も数軒ありましたが、漁獲量減少のため次第に姿を消し、現在では山戸海産だけが全国ではもとより、五島列島でもただ1軒の水いかするめ加工者となっています。
 水いかするめは素晴らしい品ですが、五島列島から都会へ出た島出身者がお土産に使っていたくらいで、殆どの一般の人には知られない品です。デパートでは1kg何万円もの値段をつけて売られています。

●豊かな自然の恵みを誇りに
 山戸海産の代表は山戸喜八郎さんです。東京でのサラリーマン生活からUターンされた息子さんの山戸幸治さんが仕事の中心を担っています。幸治さんの祖父が創業者で、美しいとさえ言える高品質の水いかするめ作りの原型を開発されました。幸治さんは、その祖父の品質以上のものを作れている、と胸を張っています。田舎での仕事はとても苦労が多いのですが、雑誌「サライ」のライターがこの仕事に自信を持たせてくれたそうです。それが転機となって、今は仕事が面白くなったそうです。
 祖父の口癖は「島が沈まん限り、喰える」。いつまでも島の自然が豊かであることを願っています。

山戸海産の無添加水産加工品
「水いかするめ」

 普通のするめをはるかに超えた味。高級食材水いかを丹念な手作業で、じっくり天日干し。見た目は真っ白、肉厚でしっとりとした食感に旨味が凝縮されています。噛めば噛むほど口の中でじわっとおいしさが広がります。

●原料…水いか(アオリイカ、モイカとも呼ぶ)。五島列島産。一番おいしい秋冬の時期の、その日揚がった新鮮なまだ生きて動いている状態の活きを使います。
●製造方法…その日穫れた新鮮なイカを、海水を洗い水に手早く開き、順次天日と北風で、じっくりと吊り干しで干しあげていきます。洗い水は地下海水を濾過した海水を使っています。2日目は、手で延ばして型を整える手入れ(型どり)をしながら干します。この丁寧な手入れを4~5日繰り返しながら、白く美しく仕上げていきます。原則天日干しですが、天候によりかえって品質を落とす恐れのある場合は冷風乾燥機を併用することがあります。最後に延ばし作業をして、出来上ったら-35℃で保存し、注文を聞いてから包装していきます。味付け、食品添加物など一切ありません。
●保存方法…密閉して冷凍保存(家庭用冷凍庫で5ヶ月が目安)。
●食べ方…◎チューインガムの代替の場合は、表面だけ軽く炙ってお召し上がりください。生産者としては責任が持てないとおっしゃいますが、各自自己責任で、生で召し上がってみてください。おいしい水いかの旨味が干して凝縮され、いつまでも口の中においておきたい味です。◎基本はとろ火(炭火がおすすめ)でじっくり焼いて(さっとあぶるのは駄目)、なるべく細く裂き、何もつけないで食べるのがおいしく食べるコツです。◎松前漬の材料として。◎水で戻しその出汁でいかめし、炊き込みご飯、鍋物など。◎焼いたものが残ったら醤油に浸けておき、冷蔵庫で保存し、お茶漬けに。

「水いか一夜干し」

●原料…水いか(五島列島産)。
●製造方法…基本的な工程はするめと同じですが、乾燥状態はするめより軟らかいです。市販の一夜干しは天日干しせず、脱水シートで吸水しただけのものが出回っています。軟らかいから新鮮だと勘違いすべきではありません。
●保存方法…密閉して冷凍保存(家庭用冷凍庫で3ヶ月が目安)。
●食べ方…とろ火でじっくり焼いて食べる他、一度湯引きして刺身風やパスタの具材として。

「水いか内臓の塩辛」

 水いかの内臓だけを使った塩辛です。

●原料…水いか(五島列島産)の内臓、塩(一般精製塩)。
●製造工程…①鮮度のよい水いかの内臓を別洗い②塩漬、2ヶ月寝かせる③刻み作業④再び寝かせる⑤ビン詰

「いか徳利(水いか、するめいか)」

 厳寒期に手作りで徳利の形にしています。表面を遠火であぶった後に熱燗を入れると、酒に香ばしいいかの風味がしみて美味。徳利も後で召し上がれます。

●原料…水いか(五島列島産)、するめいか(五島列島産)
●製造工程…①げそを抜き、身の部分をある程度まで天日干し②身に粟を詰めて成形③天日干し④詰めものを出して掃除⑤袋詰め、冷凍保存

「塩うに」

 甘塩仕立てです。鮮度のよいうちに割って洗って塩だけで加工しています。ミョウバンなど食品添加物を一切使用していません。

●原料…ムラサキウニ(五島列島産)、塩(一般精製塩)
●製造工程…①ムラサキウニのむき身に塩をふる②一晩水切り③ビン詰

「からすみ」

 長崎産が有名。特に五島富江湾に回遊してくるボラの子(まこ)は最上級といわれています。無添加のからすみは貴重品。

●原料…ボラの卵巣(五島列島産)、塩(崎戸製塩の並塩)
●製造工程…①塩漬けしたボラの卵巣を真水で塩抜き②天日干しで仕上げ③真空パック
●食べ方…そのまま薄く(1~2mm)スライスし、山芋やきゅうりの上にのせて。あぶってほぐしてお茶漬けも美味です。

「きびなご うす塩干し」

 鮮度のよい五島列島産きびなごを塩水に30分浸けたあと、さっと海水で洗い、丸のまま冷風で生干ししています。焼いて頭から尻尾まで丸ごと
食べられます。子どものおやつ、酒肴に。

●原料…きびなご(五島列島産)
●製造工程…①塩水に浸ける②海水洗い③せいろに広げ、冷風乾燥機にて乾燥

「赤とさかのり」

 肉厚が特徴の五島のとさかのりを塩蔵加工したもの。さっと洗って刺身のつま、海藻サラダ、酢の物に。見て美しく食べておいしいヘルシー食材です。

●原料…とさかのり(流れの速い瀬から手で刈ってきたもの)、塩(崎戸製塩の並塩)
●製造工程…①塩を使い水切り②ごみなどを選別③塩を加えて天日干しして赤く色だし④出荷時に水でもどし、⑤塩を使い水切り⑥脱水後、定塩で塩蔵

「あおさ」

 磯の香りたっぷりの品。そのまま味噌汁、お吸い物の具として。おやつや佃煮作りにもおすすめ。

●原料…あおさ(五島列島産)
●製造工程…①砂を水洗い②天日干し

「長ヒジキ・ヒジキきんぴら」

 山戸喜八郎さんの弟さん、マルキン水産食品加工のもの。ヒジキの葉を食べる「芽ヒジキ」とは異なり、島ではおいしいので枝を好んで食べます。一般には業務用くらいにしか出回っていない珍しい品です。長ヒジキの中から短いものを選別したものが「ヒジキきんぴら」で長ヒジキと同じ原料、製造工程。

●原料…ヒジキ(五島列島産)
●製造工程…①原藻を煮沸②茎と葉の部分に分ける③天日干し④金属探知、選別⑤袋詰め
●食べ方…通常のヒジキ同様、煮物などに。

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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