頑固な職人が作る京菓子

2008年12月4週号

 

オルター指定の原料を使った伝統の京菓子が、四季折々に登場。

●トレーサビリティーのしっかりしたお菓子を
 お菓子の原料は実に多岐にわたり、複雑です。メーカーの姿勢次第ではいくらでも質の低い原料を使うことになります。そこに今回問題となった事故米由来の原料が入り込む余地がありました。
 昔、まともな原料を使っていた時代の和菓子には、まさに芸術品と呼べるような水準の細工物も多く、味わいも満足できるものが一般的でした。しかし今日の和菓子は、見栄えはカラフルで一見おいしそうでも、食べるとがっかりするまずい品々が一般的になっています。

●季節感あふれる京菓子を
 オルターではかねてから、四季折々に季節感のある和菓子ができないかと考えてきました。お茶菓子としても子どもたちのおやつとしても使えるものを、と。
 今回、伝統ある京菓子の腕の立つお菓子職人、たまだけんの玉田守さんに、オルターおすすめの最高級のこだわり原料を使っていただき、配合はできるだけシンプルに、素材の味を活かした季節感あふれる和菓子作りにチャレンジしていただくことになりました。最高の素材を使って、昔ながらの道具を使い、手技を惜しまず、伝統ある京菓子の名に恥じないお菓子作りに取り組んでいただきます。
 たまだけんの女将・玉田美恵子は私の姪です。3人の息子の2人はお菓子職人の修行中です。

たまだけんの京菓子
 これから四季折々に、季節感あふれる京菓子を作っていただきます。オルターおすすめの最高原料で作っていただきますので、一品ずつ試作を重ね、2年以上の積み重ねの中からラインアップの充実をはかっていきます。
 まずは先週配布の12月3週号と年末特別号で、土橋さんの無農薬のもち米で作る正月用杵つきもちを先行企画しました(翌々週届のため)。今回は、やきもち、黒糖まんじゅう、京もなか、でっちようかんの4品と、たまだけんセットが登場です。

原料
●無農薬もち米…土橋敏郎さん(秋田県)の無農薬栽培
●国産本葛…(株)廣久葛本舗・十代目高木久助さんの国産(九州産)本葛。国内で唯一の国産本葛です。近くカタログでご紹介を予定しています。
●無農薬小豆…渡辺信一さん(北海道)の無農薬栽培
●国産小麦粉…吉原製粉の北海道産小麦粉
●黒糖…宮古製糖多良間工場
●甘蔗分蜜糖…新光製糖(種子島)のS.C糖(カタログ2000年4月1週号参照)
●細寒天…丸京寒天(カタログ2008年10月3週号参照)
●もなかの皮(種菓子)…浅田商店(昌美屋)。原料はもち米(滋賀羽二重)。生産者は木村晃さん。殺虫・殺菌の農薬不使用。製造工程は、①洗浄②浸水(20~30分)③水きり④自然乾燥(3~4時間)⑤どつき機でもち米を粉砕⑥粉をミキサーにかけ団子状にする⑦蒸す(4~5分)⑧板の上で薄く延ばす⑨小さく裁断⑩最中焼き器で1枚1枚焼く
●重曹…桜井食品の重曹。炭酸水素カルシウム99%以上。内モンゴル産天然ソーダ100%

市販の和菓子の問題点
 オルターではかねてから、お菓子の原料がたいへん粗悪であることを警告してきました。事故米、カドミウム汚染米などが広く使われていることがマスコミ報道で明らかにされ、やっと世間の目が開かれる状態に近付いたかもしれません。
 もち米を使わないもち。ごはんにするうるち米には増粘多糖類のCMCを加えています。輸入のもち米粉、米粉は当たり前。それに事故米やカドミウム汚染米が使われてきたのです。
 葛もピンキリで、廣久葛を除いて国内に国産原料の葛はありません。よほど高級な吉野葛も原料の韓国産、中国産など。一般的には代用のさつまいも澱粉が主流です。
 あんには安い代用のささげなどの豆が使われます。カーワックスと同様のワックス(発がん性の心配)で磨き上げられています。炊く時には次亜塩素ソーダが殺菌剤として使われ、防腐剤や合成着色料も使われています。また、昔ながらに自家製あんを炊く和菓子屋さんなら原料を特定できますが、製あん業者から業務用あんを購入して使うメーカーも多く、その中には今年9月、味見をした従業員が手足のしびれなどを訴えた「中国産のあん」も含まれます。
 小麦粉はポストハーベストのある輸入小麦。黒糖は製造時に加工助剤が使われ、白砂糖増量、炊き直し(再生)、着色なども行われています。寒天は南米のオゴ(褐藻類)から作った粉寒天、製造時に手間がかかりませんが旨味もありません。さらに粗悪な原料が問題であるゼラチンや食品添加物カラギーナン(発がん性の心配)まで使われています。膨張剤は有害な合成化学薬品が多用されています。重曹にもピロリン酸など何種類もの食品添加物が配合されているものもあります。
 お菓子の着色には、昔のように天然の素材を活かすのではなく、どぎつい合成着色料を使用しています。かくして、食べてがっかりするような和菓子のオンパレード。子どもが和菓子を好きになるはずがありません。

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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