砂糖の代わりにいかが?やしの花蜜糖

2007年3月3週号

タイ料理伝統の甘味料。
パルミラヤシの花から採取した樹液が原料の体にやさしい甘味料です。


●タイの人々の健康を支える優しい甘み
 やしの花蜜糖とは「パルミラヤシ」の花のつぼみの先端を切り、そこから出てくる花序樹液を煮詰めて作るタイの伝統的な甘味料です。
 タイ料理は一般的に「辛い、酸っぱい、甘い」のが特徴です。そのうち甘味にはパルミラヤシから採った「パームシュガー」が多く使われ、特に宮廷高級タイ料理では多量に使われていました。タイでは砂糖(ナームタン)といえばこのパームシュガーを指し、サトウキビから作った甘蔗糖は"ナームナンサイ"と呼んで区別しています。タイ人はこのパームシュガーをデザートやお菓子だけでなく、チャーハン、おかゆ、タイ焼そば、タイラーメン、タイカレーなど様々な料理に使っています。
 パルミラヤシ糖の甘味成分は100g中、ショ糖68.0%、ブドウ糖4.9%、果糖4.9%で、他にカリウム、銅、ナトリウム、マンガン、亜鉛、リン、マグネシウム、カルシウム、鉄などミネラルを多く含んでいます。ある程度のショ糖を含んでいるのですが、不思議な事にこれが糖尿病の原因になったという話がなく、むしろ現地の人はダイエット中の栄養補給や生活習慣病対策の食べものと考えています。
 昨今、この伝統的なパルミラヤシ糖を食べなくなり、市販の砂糖を食べる様になったタイ人に、生活習慣病が拡がっているといわれています。

●100%天然物、無化学処理・無漂白
 松永英輔農学博士はかつて、三共(株)の生薬の研究者としてタイに20年間滞在しました。当時、パルミラヤシ糖の事を知り、その大群生地を見つけましたが、現地の人がこの貴重なパルミラヤシを焚き木として切り倒している事に心を痛めていました。
 2000年に定年退職したのを機に、「熱帯農業の豊かな将来像、村おこし、健康」をテーマに、熱帯農業コンサルタントとして活動を開始、パルミラヤシ糖を使った新しい甘味料の開発に着手されました。京都大学の学生時代、ヤシの専門家である佐藤孝神戸大学名誉教授が三共(株)非常勤嘱託時代に教えを受けた経験が役立ちました。
 松永博士は、現地では通常シロップ状で使われているパルミラヤシ糖を独自の真空乾燥技術で粉状に製品化することに成功し、より手軽に使える体にやさしい甘味料「やしの花蜜糖」として紹介されています。
 「やしの花蜜糖」はまだ月産1トン程度しかなく大変貴重なものです。100%天然物で、無化学処理・無漂白で、さらっとした上品な甘さ、独特の旨味とコクを醸し、くせがなく、砂糖のようなあくがありません。砂糖の代わりにお勧めです。

熱帯農業コンサルタントの「やしの花蜜糖」
●原料
 原産地はタイ南部ペッチャブリ沿岸の乾燥地帯。原料は、パルミラヤシの花のつぼみの先端から採取する花序樹液です。ヤシの木に登り、竹の筒に樹液を朝夕2回、半日で2リットル集めます。裸足で腰に竹筒をぶら下げて登るのですから大変な重労働で。男の仕事になっています。この製品のために採取している人は1人です。
 樹液の採取法は秘伝とされ、単純に花梗を切っても糖樹液は出てこず、前処理が必要で熟練を要します。樹液は切ってから2週間経ってから出てきます。樹液は半日以上経つと自然発酵してヤシ酒になり始めますので、短時間のうちに熱加工を始めなければなりません。そのため、大群生地でなければある程度の加工は難しく、大量生産に向いていません。採取時に発酵を抑制するために、ある樹木の皮を竹筒に入れて使用しており、この樹木の皮は煮詰めるときにフィルターで除かれます。
 パルミラヤシは14~19年めに花房がでて花序樹液の採取が可能になり、30~40年採取が続けられます。パルミラヤシは虫がこないので無農薬です。肥料もいりませんので、まさに自然のままです。

●製造工程
現地では粉末までの加工を行います。現地責任者はカニヤナット・ペッタパックディッツポンさんです。

①採取した樹液ろ過
②ろ過した樹液を煮詰める。7個の鍋を並べ られる横に長いかまどで、それぞれのかま どの火力を調整しながら連続的に濃縮し ていきます。45分間で25%濃縮液まで 煮詰めます。燃料にはヤシの葉を使いま す。
③空冷下で一定時間撹拌する。カラメル臭 と黒茶褐色化を防止するため。
④真空乾燥を行う。ヤシ糖濃厚液をトレイ(※) に流し込み、改良型真空乾燥機で焦げない 様に、成分風味を損なわない様に、80℃2 時間乾燥し、水分10%以下になるまで。
⑤粉末へ粉砕する。ふるい付き粉砕器で粉 末化する。
※トレイはオルターでは認めていないアルミ製ですので、い ずれ改良が必要です。

 生産・販売・輸入は熱帯農業コンサルタント(代表・松永英輔)のもとで行われます。輸入は松永博士の友人である福本佳孝さんが担当しています。小分けは日本国内で(株)大東が担当し、金属探知と目視検査を行っています。販売はFFカンパニーが担当しています。

●市販の甘味料の問題点●
 精製された白砂糖の摂りすぎは「低血糖症」である多様な精神疾患(家庭内暴力、統合失調症、うつ病など)の原因となります。また腸内の悪玉菌を増やして腸内環境を悪化させることから、アトピーなどの免疫病をはじめ、多様な生活習慣病の原因となります。
 そこで登場してくる人工甘味料パルスイート(アスパルテーム)には脳障害をはじめ重大な副作用があり、ステビアは変異原性が知られています。
 オルターとしては、甘さは可能な限り自然の素材そのものの甘さを活かすようにアドバイスをしています。幸いオルターの野菜は、亜硝酸体窒素を多く含む市販の苦い野菜などとは違って、自然な甘さがあります。
 どうしてもさらに甘さを求められる場合は、オルターレベルの甘酒、水飴(ぎょうせん飴)、三河みりん、はちみつ、黒砂糖、メイプルシロップ、コーボンなどをおすすめしています。もちろんオルター以外の場合はそれぞれにすべてまがい物がありますので、要注意です。
 ヤシ糖の場合、インドネシア産ヤシ糖「サトウヤシ」が一般的ですが、これらヤシ糖には漂白のため安息香酸ナトリウムが使われており、さらに精製糖(白砂糖)で増量されています。また単数かまどなど加工技術も低く、カラメル化していたり灰が入っていたり、保存性の低い低品質のものです。

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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