毛染めをするなら良質なヘナで

2007年5月4週号

化学染毛剤は危険がいっぱい。
天然系を謳うヘナの品質にも、ピンからキリまであります。


●天然系のヘナの品質もピンキリ
 昨今の日本の若者にとって茶髪は当たり前。みどりの黒髪を誇りにしてきた日本人の心はとっくに置き忘れてきたようです。白髪染めもごく一般的になっています。文化的考察はさておき、これらヘアカラーがいかに危険であるかを指摘しなければなりません。詳しくは下記の「問題点」をご参照ください。
 化学的ヘアカラーの危険性に気付いた人たちは、天然系染料ヘナへとシフトしています。しかし、このヘナの品質がまたピンからキリまであります。市販のヘナでは、ヘナの成分を全く含まない、あるいはほとんど含まない偽物や、合成染料を添加したごまかし品などがたくさん出回っています。混ぜ物がないというヘナでも、古葉や枝まで入っているものがあります。製造者の姿勢や技術によって品質に当然差があります。

●納得できる品質のヘナを求めて
 (有)グリーンノートの代表・中澤由紀子さんは、かつて自らの強い癖毛、太くバリバリゴリゴリ、ツヤのない髪の毛が一番の悩みでした。ありとあらゆる合成シャンプーを試しましたが、髪によい結果がでるものはひとつもありませんでした。30才を過ぎて白髪が出てくるとその悩みはさらに深いものになり、化学染毛剤、ヘアカラーの使用でボロボロの髪になりました。
 そんな時「インド産、植物性白髪染め=天然成分だけのトリートメント」とメニューにある変わった雰囲気の美容室でヘナに出会った中澤さんは、なんとそのままインドへ飛び、ヘナ生産者のところへ行って日本へ輸入する手続きをしました。現地との交渉にガイドを雇いましたが、このガイドたちがインド的で、送られてきたヘナはとんでもない品質のものでした。ご自身が使いたい品質のものを手に入れたい中澤さんは、ヘナの品質や製造方法を追求していきました。すると実はインド人自身がヘナをよく知らないし、製造方法の改良など考えない人たちだと気づきました。
 何度もインドを訪れ、ヘナ栽培農家に泊まり込み、破傷風や激しい下痢などの経験を超えて、やがて信頼できるヘナの業者とも知り合えました。「ヘナが大好き。品質の良い、使いやすい、トリートメント力に優れたヘナを日本に紹介したい」という中澤さんの想いが、現地の人々を動かしていったのです。

●髪で悩む女性たちに伝えたい
 グリーンノートでは、満足いく品質のものを手に入れるため、インドで最終的に仕上げたものを輸入するのではなく、ヘナやインディゴを粉の状態で輸入して日本国内で再加工しています。ブレンド率もその品質ごとに変え、安定して同じ色調が出るようにしています。日本の方が工賃は高いのですが、品質を良くするために必要な工程を踏み、代価も払う努力をしています。
 いま中澤さんの髪の毛はツヤツヤでサラサラ感のある髪質が蘇り、通りすがりの方からも誉められる髪質になりました。「白髪や脱毛、髪の細さやコシのなさ、頭皮のトラブルに悩んでいる人たちに、たくさんのクリームや液体を揃えるのではなく、ヘナを使って家庭で行う簡単なケアだけで美しい髪を取り戻した私自身の経験を伝えたい」とおっしゃっています。

 グリーンノートのヘナが高品質であると紹介していただいたのは、ペットフードでお世話になっている風水プロジェクトの安荘栄さんからです。

グリーンノートのハーバルカラーヘナ
 他社のヘナ製品との違いは、粉を手で触ってみて、サラサラ感をみてください。また同じ分量を同じ水で溶いても、その量が違います。不純物を一切入れていないグリーンノートのヘナは、しっかり水分を吸収して膨らみます。不純物の多いヘナは溶いている内にジャリジャリ感がありますが、グリーンノートのヘナは溶いた感触もねっとり滑らかで、頭に塗った時にしっかりと髪にからみつき、染めてくれます。
 他社のヘナは謳い文句通りにはなかなか染まりません。グリーンノートのヘナはそれらより遥かにしっかりと染まります。

オレンジブラウン
●原料…ヘナ。インド・ラジャスタン州ソジャット産。 主として5軒の契約農園が無農薬・無化学肥料で 栽培したもの。若葉のみを摘み取ります。中澤さ ん自身が産地と加工場に毎年足を運び、品質を 確認しています。着色、茎や古葉や他のハーブの 混入などはしていません。
●製造方法…①ヘナの若葉のみの摘み取り②乾燥 ③粉末化④日本へ空輸⑤国内にて再粉砕⑥フィ ルターを通す⑦充填⑧検品
●特徴…ミソハギ科の低木ヘナの葉の部分には、 ローソンという色素成分が含まれ、髪の毛のケラ チン(蛋白質)と結びつき、白髪をオレンジ系茶 褐色に染めます。ヘナは髪に保護膜を作るので、 染料としてだけでなく優れたトリートメント効果 もあります。
●仕上がりの色
 白髪の割合が3割くらいまでの少なめな方にお すすめします。白髪はオレンジ系茶褐色に。黒髪 や茶色に染めてある髪は、ほぼ変わらないか、ま たはやや明るく色がトーンアップして軽い感じに。

ライトブラウン、ナチュラルブラウン
●原料…ヘナ(同上)、インディゴ(インド産)、アムラ(インド産)
●製造方法…左記?のあとにブレンド工程
●特徴…これらはヘナにインディゴ(インドアイ)と アムラ(トウダイグサ科)という2種類のハーブが 混合されています。それらの配合量の違いにより 色調が違っています。気候条件等によってロット 毎に多少変化する品質はその都度チェックし、染 まり具合をテストして配合を微調整しています。 インディゴの分、ヘナの配合量が減るので、トリー トメント効果を補うためにアムラを配合していま す。アムラもアーユルヴェーダでさまざまな薬効 が謳われているハーブで、殺菌・収斂効果があり、 白髪予防、髪の成長促進、髪にハリとコシとツヤ を与えます。
●ライトブラウンの仕上がりの色
 白髪の割合が多い方におすすめします。白髪は ライトブラウンに。黒髪や茶色に染めてある髪は 元の色よりやや濃く暗い感じに。
●ナチュラルブラウンの仕上がりの色
 白髪の割合が多い方におすすめします。白髪は 落ち着いた茶色に。黒髪や茶色に染めてある髪 は元の色よりさらに濃く、暗い色に。

市販の染毛剤の問題点
 パーマネント・ヘアカラー(酸化染毛剤)にはジアミン系、セミパーマネント・ヘアカラー(酸性染毛剤)にはアミン系など、発ガン性や遺伝毒性が心配な多様な化学成分が使われています。さらにそれら染料を毛髪から出にくくさせるための酸化剤、薬品を毛髪に浸透させる合成界面活性剤が使われ、さらに毒性を強めています。酢酸鉛など有害重金属、殺菌防腐剤レゾルシンまで使われています。早染め製品や無臭製品ほど、その毒性はさらに強くなります。これら染毛剤は水道水の塩素(Cl)と反応してダイオキシンが発生することもわかっています。
 「ニューズウィーク日本版」1992年7月22日号は、ヘアカラーが悪性リンパ腫を誘発すると報道しました(アメリカ国立ガン研究所シリア・ザーム研究チーム)。北里大学の坂部貢先生によるマウスの実験では、子宮に重大な影響を与える可能性や、免疫に作用してアレルギーや膠原病の引き金になることがわかっています(「食品と暮らしの安全」No.153)。
 正確な疫学調査に基づいてはいませんが、長年白髪染めをしていた人が次々に肝臓ガンで亡くなっています。問題は、染毛剤の毒性が経皮毒であり、頭皮から吸収されると直ちに血液にのって全身に回り、そのほとんどが体内に残留することです。経口する食べものの毒よりも、たちが悪いのです。
 若者の間で流行している茶髪は、発ガン性、環境ホルモン作用のあるパラ・フェニレン・ジアミンを酸化剤を使って発色しているものが主流です。髪への浸透性を高めるために配合している合成界面活性剤が頭皮のバリアゾーンを破壊し、体内へ毒物を送り込んで、肝臓をはじめ全身に蓄積していきます。茶髪が発育過程の子どもたちへとさらに低年齢化しているのはたいへん危惧すべきことです。
 どうしても茶髪にしたいなら、せめてまだ毒性のましな漂白剤を使った脱色にとどめるべきでしょう。ヘビメタのミュージシャンのほとんどが30才を過ぎるとハゲてしまっているのはいわば職業病で、茶髪を続けているとやがてハゲの原因になる心配があります。

 このように化学染毛は論外です。そこで天然系のヘナが人気上昇中なのですが、市販されているヘナの中には、ヘナが全く含まれていないものや、ごくわずかしか配合されていない偽物が出回っています。それらには合成染料であるパラ・フェニレン・ジアミンやパラ・アミノフェトルなどが混入しています。黒くよく染まるヘナは十分に注意したほうがよさそうです。
 天然100%のヘナでも、新鮮に見せかけるため、そのほとんどがタール系の緑色色素で着色されています。また古葉や茎が混入されている低品質のものがほとんどです。合成染料が混入していないとはいっても、このように低品質で染色性能が低いものが一般的で「ヘナは染まらない」という消費者クレームにつながっています。よく染まるヘナも、まったく染まらないヘナも、消費者にとっては要注意だということです。

 なお、ヘナの色素成分であるローソン(ナフトキノン化合物)にも体内で催奇形性や腎臓毒性が問題になると、EUのSCCNFDが2001年警告しています。したがってヘナの成分が合成界面活性剤の協力で体内に吸収されるケースにも注意を払う必要があります。シャンプーなどはバリアゾーンを破壊する合成のものを使わず、安全な石けんシャンプーを使うことが大切だということです。
 万が一体内に侵入しても、ヘナは水溶性で代謝は早く、その毒性を心配するようなものではありません。人類にとってクレオパトラの時代から最も安全な染毛剤として親しまれているものです。白髪のままでも素敵なことだと思いますが、どうしても染毛したいときには合成染料などを含まない、純粋で良質なヘナをおすすめします。

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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