花粉症対策など抗アレルギー作用が話題 べにふうき」緑茶
2006年3月3週号


紅茶用茶品種「べにふうき」の成分に
抗アレルギー作用があることがわかり、自園の無農薬茶葉で、緑茶を作りました。
 

●メチル化カテキンが豊富な「べにふうき」茶
「べにふうき」茶とは、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構野菜・茶葉研究所(元・農林水産省野菜・茶葉試験場)にて育成され、1993年に命名、農林登録された品種です。母(種子親)がアッサム雑種の紅茶「べにほまれ」、父(花粉親)が香りの良いダージリン系「枕Cd86」の交配品種です。
 「べにふうき」茶は、活性酸素を抑えて発ガン抑制作用、抗菌、抗ウイルスなどの効果があることが判明しているカテキン含量が多く、最近同研究所の山本万里室長の研究により、抗アレルギー効果が期待されるメチル化カテキンを豊富に含んでいることが明らかにされ、注目を集めています。
 九州大学大学院農学研究院の立花宏文助教授は、メチル化カテキンの抗アレルギー効果はアレルギー反応を誘導する免疫グロブリンE(IgE)受容体の発現と炎症物質ヒスタミンの産生を抑制することによることを実証しています。東京海洋大学保健管理センターの木谷誠一教授は、ヒトの臨床試験において、「べにふうき」緑茶の6カ月長期投与によって通年性アレルギー患者と季節性アレルギー患者でともに改善効果を確認しています。名古屋女子大学家政学部の佐野満昭教授、静岡県立大学薬学部の宮瀬敏男助教授は、臨床試験でメチル化カテキンが茶の主要カテキン成分と比べて吸収率が優れていること、高い抗酸化効果を確認しています。
●二番茶以降を、緑茶で飲むと効果あり
前述の山本万里室長によれば、メチル化カテキンは現在国内で一般的に栽培されている「やぶきた」などのお茶にはほとんど含まれていなくて、「べにほまれ」とその後代品種「べにふじ」「べにふうき」に多く含まれています。茶葉中のメチル化カテキン含有量は、品種間だけでなく、摘採時期や製造法によっても大きく異なります。すなわち光量・温度の上昇する二番茶以降に成長した葉に含有量が増し、紅茶のように発酵させると消失してしまうとのことです。
 これらの研究をもとに、アサヒ飲料は「べにふうき」緑茶飲料、森永製菓は「べにふうき」緑茶入り菓子を開発していますが、茶栽培について無農薬で取り組んでいるとの情報はありません。

●自園の無農薬 茶葉を、自ら緑茶に加工
 月ヶ瀬健康茶園の岩田文明さんは、自園で有機栽培した茶葉から紅茶を作っています。またお父様の岩田文祥さんは20年以上無農薬で緑茶作りを続けています。オルターカタログ2002年8月4週号および5週号でご紹介した通りです。
 文明さんは2年前の春、「世界に通用するおいしい紅茶を作ろう」と、自園に奈良県農業試験場から譲り受けた「べにほまれ」を植えました。また同時期「べにふうき」は鹿児島の苗屋から購入しました。茶の木は順調に育ち、いよいよ今年初めての紅茶を作られます。そんな折に、べにふうき緑茶の抗アレルギー作用の情報を得て、「茶園を造っていくための整枝作業で収穫した少量の茶葉を、緑茶に加工しよう」と思い立たれました。
 こうして今回生まれた月ヶ瀬健康茶園の「べにふうき・べにほまれ緑茶」は、自園で無農薬栽培している「べにふうき」「べにほまれ」の幼木から収穫した少量の茶葉を、岩田さんが自ら緑茶に加工なさったものです。カテキン、カフェインなど苦味成分が豊富なので、苦味を苦にしない人向きかもしれませんが、3月からは花粉症の季節。その予防と対策に朗報になるかもしれません。

 なお、花粉症対策については以下のことを付け加えておきます。
 その王道はまず腸の健康、すなわち正常な免疫を取り戻すことで、パン食や肉食、砂糖を控え、日本の伝統食中心の食生活や西式健康法を学ばれることです。また、天然酵母飲料「コーボン」を5倍希釈して、鼻洗器(20ページで扱っています)で鼻腔に噴霧するのも即効性があってたいへんおすすめです。

●月ヶ瀬健康茶園の「べにふうき・べにほまれ緑茶」
●原料
 「べにふうき」茶とは、独立行政法人農業・紅茶品種「べにふうき」「べにほまれ」。紅茶の場合は新芽を使いますが、メチル化カテキンに注目する緑茶には、より生育した葉を使います。

●栽培方法
 自園茶園で無農薬栽培(オルター農作物基準☆☆☆)。2003年12月開墾、2004年3月定植のため有機JAS申請中。農薬、除草剤、化学肥料を全く使用していません。使用肥料は自分で刈ったワラ、カヤのほか、油粕(平田産業のオーストラリア産非遺伝子組み換え菜種油の油粕および辻製油の圧搾油カス)、ぼかし(日本バイオ肥料(株)の「ぼかし大王」JAS有機認証品)、鶏糞(近所の吉本エッグファームの完熟堆肥平飼い養鶏・西原さんの鶏糞)。

●緑茶の製造工程
①蒸し ②冷却 ③粗揉 ④揉捻 ⑤中揉 ⑥乾燥 ⑦貯蔵 ⑧仕上げ加工。風力選別、篩い ⑨ティーバッグ加工。
ティーバッグの素材【暫】木材パルプ、マニラ麻パルプ、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維

   ー文責 西川栄郎ー

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