紫外線対策は春先から

2006年5月1週号

 

市販のUVカット化粧品は危険です。
つばの広い帽子や長袖で陽射しを防ぎ、
安全な成分の日焼け止めクリームを使うのが基本。
オルターUV対策グッズを解説します。
●紫外線(UVA、UVB)の害
最近の研究で、肌のシワやたるみなどの原因は加齢によるものというより、紫外線の影響が大きいということが分かってきました。
 かつて日光浴は、体内でビタミンDが合成されるのを助け、骨を丈夫にするとして推奨されていたことがあります。しかし、オゾンホールが大きくなり、地上に降り注ぐ紫外線が強烈になってくるのに伴って、その紫外線の危険性が問題となってきました。
皮膚科の専門、田上八朗東北大学教授は「不用意に日光に当たるのは放射能を浴びているのと同じだ」と説明なさっています(日本経済新聞2002年5月14日)。田上教授によると、高齢化に伴って、顔や手の甲などに皮膚がんができる患者が増えている、露出機会の少ない身体の他の部分はそれほどでもないので、寿命が延びて紫外線を長年浴びた影響が現れたのではないかと推察なさっています。
 紫外線は波長の違いで、波長の長いUVAから波長の短いUVB、さらに短いUVCの3種類があります。そのうち、地上まで届くのはUVAとUVBで、UVBは主に皮膚表面で吸収され、日焼けやシミの原因となります。
 UVAは皮膚の深部まで透過し、真皮の繊維質部分を傷つけます。このような紫外線による肌が固くなったり、深いシワが刻まれる「光老化」や免疫の低下が問題となり、現在では母子手帳の日光浴を勧める記述が削除されています。
 一方、ビタミンDは食事で十分摂取でき、日光浴も数分で十分足りることが分かっており、紫外線から肌を守ろうというのが、正しい対処法となってきました。限度を超えて紫外線を浴びると、シミや皮膚がんになる場合があります。肌の細胞の遺伝子(DNA)が傷つき、メラニン色素合成機能が狂ってしまうからです。真夏並の太陽光を昼間に1時間浴びただけで、遺伝子に10万から100万くらいの傷ができるというのです。
 紫外線は必ずしも真夏に多いというわけでもなく、春先に十分に多い日があり、とくに5月からは真夏に匹敵する量が降り注ぐことがあるので要注意です。

●紫外線吸収剤配合UV商品は有害
そのため、UVカット化粧品もブームになっていますが、その多くに紫外線吸収剤が配合されています。もとはといえば印刷用インクの褪色防止剤だったフェノール系やアミン系の化合物(パラアミノ安息香酸・オキシベンゾン・ケイヒ酸系・ジベンゾイルメタン系)であり、やはり発ガン性や環境ホルモン作用が問題とされる危険なものです。また汗で流れないよう撥水性の強いシリコンを使っていますので皮膚にピッタリついて皮膚環境を阻害し、皮膚呼吸も妨げます。
これら有害化学物質が、ともに配合されている合成界面活性剤によって皮膚のバリアゾーンを破壊し、体内に吸収されてしまうおそれがあり、問題です。
●日焼けした 肌を美白化 粧品で白く するのは危 険
●日焼けした 肌を美白化 粧品で白く するのは危 険
●日焼けした肌を美白化粧品で白くするのは危険
 日焼け対策は、日焼けしないようにするのが基本です。日焼けした肌を美白化粧品で白くしようとするのは危険です。
 肌を傷めないためには、少なくとも肌の自然の防御機構であるバリアゾーンを破壊しないことです。一般の美白化粧品はこのバリアゾーンに合成界面活性剤で穴をあけて、バリアゾーンより深部にあるメラニン色素を漂白しようとするもので、使われている合成界面活性剤も、漂白剤も発ガン性や環境ホルモン作用のような毒性が問題となります。
 ただし、美白化粧品の中でも肌表面のみをアスコルビン酸で漂白する程度のものはとくに問題にする必要はありません。
 ちなみに最近よく話題にされるアンチエイジング化粧品もたいへん危険です。やはり同様に合成界面活性剤でバリアゾーンに穴を開けて保湿成分を体内に注入するもので、一見プリンプリンの肌になったように見えますが、肌を破壊して無理矢理ふくらませているだけで、麻薬のようにその化粧品を使い続けないとすぐにそれ以前よりひどい肌状態となり、やがて使っても原状回復不能なボロボロの肌にされてしまうものですので、くれぐれも手を出さないようにして下さい。

●紫外線対策の基本は日光を防ぐか、反射させることです
 紫外線対策には、日傘やできるだけつばの広い帽子や長袖の服で陽射しを防ぐのが基本です。成分が安全な日焼け止めクリームで防ぐのも方法です。ただ、いずれにしても100%完全に紫外線を防ぐのは難しいのです。
 安全なUVカット商品とは、酸化チタンのようないわば鉱物で肌の表面を覆って紫外線をはね返すような種類のものです。

   ー文責 西川栄郎ー

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