生チョコレートに魅せられたシェフ 「ショコラ」の中西広文

2004年8月1週号

 京都生ショコラの中西広文さんは、オルターの材料だけで、こだわりの生チョコレート作りに取組んでいます。
 中西さんは元々、東京のホテルオークラでフランス料理のシェフをしていました。23才のとき、その腕を見込んだニューヨークの日本領事館から声がかかり、先輩シェフと2人でニューヨークへ渡り、領事館のディナーやランチ、パーティーの料理をこなしていました。ホテルの厨房は分業化していますが、領事館では全て2人でこなさなければなりませんでした。そんな中、デザート作りの面白さに目覚めたのです。

「食事ももちろん喜ばれますが、デザートはとくに女性が凄く喜んでくれて嬉しいし、面白かった。料理作りは戦場のようですが、デザートの世界は自分のペースでできるので、心地よかった」、「とくに、生チョコレートはシンプルで、華やかさはないがとってもおいしい。そのギャップが面白かった」
 そのニューヨークで、生涯の伴侶となるカナダ出身のシェリーさんと出会い、シェリーさんが禅や手漉き和紙など日本文化に憧れていたことから、京都に1999年に移り住むことになりました。 
 生チョコレート作りは、4年前から試行錯誤を始め、本格的に生チョコレート工房「京都生ショコラ」を設立し、販売を始めたのは2年前、お店のお客さんに紹介され、3年前からオルターの会員となり、昨年谷農園のサマーキャンプでオルターの企画部の亀岡佳奈と会って、オーガニックチョコレートを使った生チョコ作りを始められたのです。
 生チョコのテイスティングには、シェリーさんの協力があります。中西さんの抱負は、このおいしい生チョコレートを多くの人に認めてもらい、生チョコレート作りだけに専念したいとおっしゃいます。
 全くの手造りのため、1人では1日30箱作るのが限界という超レア製品です。材料がおいしいのは言うまでもありませんが、極められた技術から生み出される生チョコレートは極上の口当たり、ふわっとした口溶けにこだわる、絶品です。

京都生ショコラの生チョコレート
◆原料
チョコレート…日新化工㈱のNKオーガニッククーヴェルスイート
 オーガニックカカオマス…ドミニカ産、オランダSKAL認定
 オーガニックシュガー…ブラジル産、アメリカFVO認定
 オーガニックココアバター…ドミニカ産、オランダSKAL認定
 バニラビーンズ……マダガスカル産
ココア粉末……桜井食品。オーガニックココアバター
生クリーム……よつ葉乳業、生クリーム(カタログ2000年8月第3週)
リキュール……富田酒造「龍宮」(カタログ2001年6月第3週)

◆製造方法
 仕上げは多少難しいですが、生チョコレートは家庭でも比較的簡単に作れます。中西さんはこだわりの原料を見つけるのと、配合量や温度管理などで苦労してこられました。
①チョコレートは湯煎で溶かしてテンパリングしておきます。
 オーガニックチョコレートは溶けにくいので、70℃近くまで加熱し、溶かします。
②生クリームに焼酎を混合し、70%程度までたてる。
③たてた生クリームに、溶けたチョコクリームを混合し、型に入れる。
④一昼夜、冷凍庫で固める。
⑤冷めて、固まった生チョコを包丁で小さく切り、ココアパウダーをまぶし、箱に
 入れる。
・箱のデザインはシェリーさんのものです。流通は冷凍扱いです。
◆食べ方
 冷凍しても固くなりませんが、食べ頃の柔らかさまで少し置いて、お召し上がり
下さい。
解凍時間
  夏…5分程度
  冬…10分程度
 生チョコは溶け具合で感じ方が変わります。20℃を越えると柔らかくなりすぎますので、ご注意下さい。
 ゆったりした気分で、ハーブティーと組み合わせてお楽しみ下さい。
少しビターな感じの生チョコレートは、お酒にも合います。

市販のチョコレートの問題点
 一般のチョコレートには、なめらかさを演出するために必ずといってよいほど、乳化剤として大豆レシチンが入っています。大豆レシチンはポストハーベスト農薬、遺伝子組換えの問題があります。
 市販のチョコレートには、砂糖、カカオマス、ココアパウダーのほか、植物油、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、練乳パウダー、チーズパウダー、ショートニング、バターオイル、デンプン、セルロース、マカダミアナッツペースト、カシューナッツペースト、還元水飴、デキストリン、乳糖、麦芽エキス、ソルビトール、ぶどう糖果糖液糖、トレハロース、カルシウム、酸味料、光沢剤、増粘多糖類(アラビアゴム)、酸化防止剤(ビタミンC、E)、カラメル色素、紅麹色素、カロチノイド色素、チコリ抽出液、香料など、いずれも粗悪な原料が多種類使われています。

   -文責 西川栄郎-

ページの先頭へ