富士酢でおいしいとろろ昆布ができました

2002年5月4週号

 

 (株)末広昆布は、以前から良心的な昆布製品作りを心がけてこられた会社で、生協などにも認められ、関西でのとろろこんぶのシェアも大きいところです。初代はおぼろ昆布の職人さんでした。現在の社長、常峰昇次さんは2代目です。グリーン杜仲の鈴木真智子さんにご紹介いただきました。これからはオルターのようにきっちりこだわった品物を製造する時代だと、オルター指定のこだわり原料で、とろろこんぶを始め、各種昆布の佃煮などを製造していただけることになりました。
 とくにとろろこんぶについては、昔のように良質なお酢で作るメーカーはなくなっており、合成酢酸を配合しているような人工的なお酢もどきで作っているところばかりです。そのため、これまでにもいくつかのとろろこんぶメーカーに、富士酢のようなきちんとしたお酢での試作をお願いしてきましたが、難しいなどとの理由で断られてきました。今回、末広昆布で富士酢を使ったとろろ昆布を試作していただいたところ、予想以上にすばらしくおいしい、風味のあるとろろ昆布ができ、製品化できることになりました。

末広昆布のとろろこんぶ
〓 原料 〓
昆布
 道南白口浜の天然物もしくは2年養殖もの真昆布。
天然物が不作の年には養殖物を混ぜ、価格を安定させます。旨み、甘み、香りがある最高級のだし昆布です。粘り、風味がとろろこんぶに向いています。干場で干すときは吊るして干していますので、干物に使う除草剤の汚染の心配はありません。


 飯尾醸造の富士酢。
無農薬米100%、古式醸造のお酢。米は契約栽培で、丹後地方の山あいの棚田で無農薬栽培しています。品種はコシヒカリと酒米です。まず純米酒を作り、それからお酢にしています。酒から2年の長期熟成です。長期熟成のため、酢酸のような揮発酵ではなく、他の不揮発性の有機酸を多く含んでいるので、使用した調理素材から抜けにくく、かつマイルドになっています。原料米の使用量は、市販の米酢の2倍以上です。詳しくはカタログ1998年11月第2週をご参照下さい。
 酢は昆布との相性が良く、風味を良く出してくれるのと、防腐効果も兼ねます。

このとろろこんぶの原料は、以上の2種だけのとてもシンプルなものです。化学調味料など一切の薬品の使用はありません。
〓 製造方法 〓
①昆布を酢につけてやわらかくする。
②裁断する。
③砂とりする。
④プレス機で仮締する。
⑤プレス機で本締する。
⑥圧縮された状態で、1週間ねかす。
 削るときにバラバラにならないために行う行程です。
 こんぶの粘り成分が働きます。
⑦削りやすいように整形する。
⑧カンナで削る。
⑨秤量する。
⑩包装する。

この工場全体に酵母のよい香りがしています。
末広昆布では、これら製造工程の随所で代々の家つきの酵母が働いていると思われます。そのため、末広昆布独特の風味が生まれています。

漢方では長寿の薬草…昆布
 昆布は昔、中国では薬草として扱われていました。それくらい健康維持に大切な食べものなのです。オルターがおすすめしている日本の伝統食の大切な素材の一角である海藻の中でも、昆布は最もポピュラーなものといえます。
 昆布には「ヨード(成長期の発育促進、成人の基礎代謝増進、甲状腺ホルモンの形成)」、「カリウム(塩分代謝)」、「カルシウム(骨形成、イライラ防止)」、「鉄(貧血、疲れ、忘れっぽさ防止)」などのミネラルが豊富です。
 また、その旨み成分グルタミン酸は、健康高級だしに最適で、他の成分とのバランスがよいため、化学調味料のグルタミン酸ソーダーのように、脳障害の原因になることはありません。また、最近注目されている昆布の成分「コンブフコダイン」には、免疫機能を正常にする働きが確認され、ガンの抑制、アレルギーの予防に役立つことが知られています。

市販のとろろこんぶの問題点
 とろろこんぶには、本来お酢を使うものなのですが、一般市販品ではキャリーオーバーの食品添加物のある醸造酢や合成酢酸主体の薬品が使われています。また、原料の昆布そのものも、安いがおいしくない産地や品質規格のものが使われています。そのため、おいしいものができないのですが、その味をごまかすために、次のような様々なものが使われています。
甘味料
 砂糖(精製糖の害)
 ソルビット(人工甘味料)
 甘草、ステビア(催奇形性)
 ハチミツ(遺伝子組換え、ポストハーベスト農薬の
 ある水あめが混入)
 果糖
調味料
 グルタミン酸ソーダー(アミノ酸と表示、脳障害)
 蛋白加水分解物(発がん性)
 酵母エキス(キャリーオーバーの添加物、原料、製造工 程に問題)
増粘多糖類
酸味料
糊料(プルラン)

文責:西川栄郎

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