森を育てる 木製トレー

2002年7月1週号


  高知県馬路村(うまじむら)の魚梁瀬杉(ヤナセ杉)は、吉野杉、秋田杉と並んで杉の三大美林として有名です。
 馬路村は森林率96%の、森林とともに暮らしてきた村です。森林は炭酸ガスを吸収し、酸素を供給する、なくてはならない大切なものです。その森林を育てるのには、長い年月と人の手入れが必要です。
 間伐をしないと木が密生し、日差しが入らなくなり、木の成長が悪くなり、森林が荒れます。日本の多くの山では、その間伐ができていません。間伐材を活かすことは、間伐をすすめ、森を守ることになるのです。
 エコアス馬路村(社長は上治堂司馬路村村長)では、間伐材を活かすために木製トレーを作っています。木製トレーそのものが食器として環境にやさしいことはもとより、間伐材を活かすことは森林を守ることになります。
 しかも、木製トレーの売上の1%は馬路村役場で「千年の森基金」として森に還元されています。大ス樹さんよりご紹介いただきました。

エコアス馬路村の木製トレー
 木の温もり、香り、手触りは食べもののおいしさを引き立てます。木には天然の抗菌作用があり、鮮度も保持します。環境ホルモンの溶出するプラスチック製品と比べて安心です。紙容器より環境負荷が少ないので、環境にやさしい食器といえます。
使用後は土に埋めても、可燃ゴミに回しても大丈夫です。自然から生まれ、自然に還るエコ食器です。 アウトドアのキャンプ用品として、土産品、贈答品としても素敵です。

◆製造工程
 杉の間伐材は馬路村産、加工も馬路村の工場です。材料の木材を無駄にせず、最大限に活かした加工ラインです。精密にカンナがけした角材を加工して梱包するまでの工程は、16日間で16工程…
①クロスカット
 形状に合わせて、材料の角材を同じ長さに揃えます。
②集成のりづけ
 切り揃えた角材に、のりをローラーで塗布し、プレス機にセットします。
③集成プレス
 角材に上面・側面・正面から圧力を徐々にかけて、集成材を作ります。
④養生
 圧力のかかった集成材の材質を落ちつかせるために、一晩ねかせます。
⑤煮沸
 材質を軟らかくするために、約70℃の温度で15時間以上煮沸します。
⑥スライス
 スライサーにセットして、温かいうちに1枚ずつスライスします。
 厚さは0.2~2.0mmで設定しています。主に0.3mmと0.5mmです。
⑦高周波乾燥
 スライスした単板を仕分けして、高周波乾燥機にセットします。約15時間かけて、 全ての単板の水分を一定値まで落とします。小さい食器だとこの方法で大量生産が可能ですが、大きい食器は煮沸で行いますので、コストがかかってしまいます。
⑧養生
 全ての単板を自然な状態に戻すために、約10日間養生します。
⑨裁断
 使用する部材や加工方法に応じて、単板をカットします。
⑩単板のりづけ
 中芯材の両面に、のりづけ機で均一にのりづけします。
⑪単板乾燥
 のりづけした単板に熱を加えて、両面を乾燥します。
⑫3層成型プレス
 のりづけした中芯材に表面材と裏面材を交互に重ねて
プレスします。大きいものは5枚重ねにしています。
⑬トリミング
 トリミング用抜型で、切り抜き、製品を完成させます。
⑭検品
 抜け節や割れなどがないように、製品の品質をチェックします。
⑮殺菌
 殺菌光に製品を当てて、表面を殺菌します。
⑯包装・梱包
 殺菌済みの製品をシュリンク包装し、梱包します。

 接着に使われる接着剤は、集成材については水性高分子イソシアネート系接着剤です。その後の煮沸、乾燥工程で、そのほとんどの成分が蒸発してしまっていると考えられています。この接着剤の使用は、現状ではやむをえない選択だと考えています。とくに問題となる有害性は確認されていませんが、もちろん100%安全とも判断できるわけではありません。
 単板のりづけ用の接着剤の成分は、酢酸ビニール樹脂41.5%、コーンスターチ8%(NON-GMOの確認はできていません)、フェノール樹脂4%、ポリビニールアルコール1.5%、塩化アルミ0.9%、水44.1%です。
 食品には直接触れませんが、長期間水分の多いものを入れていた場合、木を浸透していった水分に触れることがあります。
 製品の表面塗装については、木の香りや感触を活かすために、何も施していません。

ご使用上の注意事項
・火に触れると燃える恐れがあります。火に近づけたり側に置いたりしないで下さい。
・電子レンジの使用はできません。黒変したり、杉の臭いが強く出ることがあります。
・製造工程上、容器の周縁が薄く型抜きされた状態ですので、小さなお子様などがご 使用の場合は十分にご注意下さい。
・自然素材ですので、高温・多湿を避けて保管して下さい。
・通常の使用では十分な強度と耐水性がありますが、水分の多い商品(醤油・酢・タレ など)を長時間にわたり使用すると、木が水分を吸収し、変形の原因となります。冷凍でも使えますが、解凍後の水分に長時間さらされた場合、同様に変形の原因となることもあります。
・使用後は可燃物として処分して下さい。
※木には年輪や節がありますので、商品はひとつひとつ見た目が異なります。
※ごみとして処分される場合は、各自治体の分別の指導に準じて下さい。

市販の使い捨て容器の問題点
 石油系プラスチック容器には、環境ホルモンなど化学薬品の使用が問題です。 アルミ食器は、アルツハイマー病の心配があります。紙は、木製品より高い環境負荷をかけることになります。

-文責 西川栄郎-

ページの先頭へ